金木犀の香りと父のオムライス

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毎年秋になるとふわっと香る金木犀。

私はあの匂いが大好きです。

香りって本当に人に記憶と強く結びついているのですね。

記憶力のない私でも香りによって思い出すことが出来ることは多々あります。

あの金木犀の甘い香りを嗅ぐと懐かしい気持ちになります。

というのも、実家の玄関横に植えてあったからです。

4歳から24歳くらいまでの20年間住んでいました。

今は両親が別居しているので、父が一人で住んでいます。

男性の一人暮らし、悲しいけれどやはり家は荒れてしまっています。

父は特に片付けが苦手なタイプなので、私や妹が片づけを勧めても

「汚くても生きていける。」

といつも言っています。

そんな父ですが、料理は割と好きで、私が小さい頃から週末には必ず作ってくれていました。

レパートリーは、焼きそば、焼うどん、お好み焼き、オムライス。

私は父の作るオムライスが大好きでした。

そしてオムライスには玉ねぎとじゃがいものお味噌汁。

必ず一緒に作ってくれました。

父の作るオムライスはいたって普通で、ケチャップ味のチキンライスを薄焼き卵で包んだもの。

けれども、父がいつも試行錯誤しながら一生懸命にオムライスをきれいに包もうとしてくれていた姿、今でも思い出します。

上手に出来たら得意げで、ちょっと破けてしまったらケチャップでごまかす(笑)

父は厳しい人間で、普段は恐くてあまり気軽に話すことはありませんでしたが、そんな父にも少し親しみがわく時間でもありました。

ちなみに実の父なのですが話す時は敬語です。

敬語で話しているので、よく他人同士と間違われます(笑)

今は地元を離れてしまったために、年に一度会えるか会えないかになってしまいました。

コロナでもう2年近く会えていません。

そして帰省する際は母のいるマンションに帰るので、金木犀が香っていた父の住む家に行くことはほとんどなくなってしまいました。

不衛生なのでアレルギー体質の子どもを連れて行きづらいという理由もあるのですが…(;´・ω・) 

帰省はどうしても夏休みか年末年始のどちらかになるので、金木犀が香る時期にあの家に行くことは悲しいけれど、もうなさそうです。

でも、金木犀の香りが漂う度に、私の心はふと懐かしい父の家に帰ることが出来るのでした。

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